僕とVAIO [SONY]
2014年2月6月
僕たちのVAIOが幕を閉じました。
SONYは今日、PC事業の売却を正式に発表し、VAIOの歴史に終止符を打ちました。
この判断についてはいろいろな見方がありますが、非常に残念というのが僕の第一印象です。
もうこれからは新しいVAIOを見ることができない、リーク情報に一喜一憂し、新商品が出る度に「アレはダメだ、これは格好良くない」と文句を言うことも出来ないのです。本当に悲しいです。
「PCなんて使えればどれでも良い」という人もいると思います。むしろ、メーカーにこだわりがある人の方が少ないでしょう。しかし、僕にとってのVAIOはパソコンという代名詞の機械ではなく、あくまでVAIOでした。
今回はいつもの記事とは異なり、僕とVAIOについてを思うままに深夜テンションで書いてみます。長いしあまり面白くない話です。
僕が初めて触れたVAIOはtype LX(たぶん)で、小学生の頃でした。
それまで家にあったパソコンは富士通製のもので(たぶん)、ブラウン管の大きな画面にWindows98を搭載しており、たまにペイントソフトで遊ぶくらいでした。
しかし、次に家に来たVAIOはとてつもないモノでした。デジタイザ対応の薄い液晶画面を搭載し、しかもモニタを2軸ヒンジで倒すことノートに絵を描くように使うこともできました。
液晶からブラウン管、Windowe98からWindows Meの進化は全てSONYの業績という訳ではありませんが、そんなことなど知る由もない子供の頃の僕は、その強烈な体験からVAIOはただのPCではないと感じました。
その後、我が家のリビングPCは一度NEC製に移ったものの、またVAIOに戻り、画面一体型のVAIO type Lを経て現在はVAIO Tap 21が活躍中です。
さて、リビングのPCがNEC製に変わった頃、父からいらなくなったVAIO Z505VRを貰いました。
スペックはOS:Windows XP(プリインストールはMe)、CUP:PentiamⅢ 800MHz、メモリ:128MB、HDD:20GB、そして無線LANのアンテナ非搭載と、今では一体何に使えるのか悩んでしまいそうなスペックです(これでも市販モデルの最上位機種だったようです)。
しかし当時の僕はこのPCでWalkmanの音楽ファイルを管理したり、趣味で撮った写真を見たり、インターネットをしたりと遊んでいました。YouTubeも見られたと思います。
自分のVAIOということで万が一壊しても怒られる心配がなく、パソコンの中を探検するような気分でWindowsの設定をあれこれいじってみたりもしました。
PCカードスロットに無線LANのカードを刺して、悪戦苦闘しながらインターネット接続の設定をしたりもしました。今考えるとパソコンを使っていく上でとても良い勉強になったと思います。
VAIOと言えば505、505と言えばVAIOというくらい人気だった(らしい)505シリーズ。これ以来505カラーのパープルなVAIOは出てないようですが、VAIOといって最初にイメージするのはこの色です。PC分野では後発だったSONYが売り場で目立つ為に使った色合いと聞きましたが、この目論見は見事に大成したでしょう。他者のPCとは一線をかくす存在感です。
そして我が家のリビングパソコンはVAIO Lシリーズに変わりました。
このVAIOはテレビチューナを搭載していたので、好きなテレビを録画、視聴することができました。
Lシリーズの前に使っていたNECのPCにもテレビチューナーは入っていましたが、このVAIOは録画ファイルを変換して手持ちのWalkmanに転送することがでるのです。
当時、高校まで電車で30分近くかかったので、Walkmanに録画ファイルを転送してよく観ていました。この時は「放送時間に縛られず、好きな時に好きな場所で録画した番組が見られるとは、なんて未来的なんだろう」と感心したのを覚えています。
(ただ、VAIOのHDDはあっという間に録画ファイルでいっぱいになり、常にWalkman用の変換をかけていたのでPCの動作が重くなり、家族からは迷惑がられてました笑)
テレビはリビングで観るものでなく、録画してモバイル端末で観るものという習慣がついたのはこの頃だと思います。今ではHDD内臓のBRAVIAで録画し、Walkmanにお出かけ転送して観ています。リアルタイムでテレビを見るのは年末の紅白歌合戦くらいです。
VAIOの中にはもっとテレビ機能に力をいれたモデルも沢山ありますが、僕のテレビスタイルはこのtype Lで大きく変わりました。
それからVAIO type Lが出た時の「ボードPC」というコンセプト、そしてCMは非常に印象的でした。丁度あの頃からデスクトップPCはモニタ一体型が主流になったと思います。
他社が様々なカタチのモニタ一体型PCを出す中、VAIO Lシリーズはとにかくスタイリッシュでフォトフレームのような気品がありました。
そういえば、最近VAIOってTV CMやってるんでしょうか?
ここ数年は殆どTVを見なくなったので分かりませんが、VAIO PシリーズのCMなんかはPCの歴史を語る上で外せないと勝手に思っています。
コレ↓
さて高校に入った僕は、初めての自分のパソコンを買います。
ここまで盛り上げて何ですが、初めて買って貰ったパソコンはVAIOでなくThinkPadです。
理由は、「当時スペックと値段が手ごろな無かった」のと、「VAIOと同じくらいThinkPadが好きだった」からです。このブログでは書いてませんが、ThinkPadも大好きです。
ということで初めてのマイパソコンはThinkPad T400でした。
それに当時の僕はVAIOは高根の花であり、高校生には不釣り合いなブランド品だと思っていました。そして「大人になったらVAIOの最高級ノートPC、VAIO Zを買ってやろう」と思い、敢えてThinkPadを選んだのです。
VAIO Zについて簡単に説明しておきましょう。VAIO ZはウルトラスーパーグレートスペシャルハイスペックPCです。「力こそパワーだ!」という感じのモデルです。
謳い文句は「何も諦めなかったモバイル」であり、当時出ていた2代目VAIO Zのシルバー地にブラックのアイソレーションキーのデザインがたまらなく格好良く見えたのはよく覚えています。
電源ボタンのエメラルドな輝きもサイコーにクール。
Mac Bookは白いポリカからシルバーのアルミニウム合金モデルになり、キーボードも白から黒いアイソレーションキーになりました。あの格好良さです。別にあのデザインはVAIOの方が先で(もっと先にも何か出てたと思いますが)云々を言いたいのではなく、あの強烈な格好良さに夢を見ました。
まさに「いつかはクラウン」、「いつかはVAIO Z」です。
この頃のVAIOは尖っているモデルが多かったですね。
先にも書いたジーンズの後ろポッケに入っちゃう(くらい小さい)、ポケットスタイルPCことVAIO Pシリーズ
大きさもさることながら、オレンジ、蛍光グリーンとか派手さにも度胆を抜かれました。
高校の先生が修学旅行の時に持ってきてたなー。
そして薄さと軽さを追及したVAIO Xシリーズ。
板みたいというか、板。しかもVGA端子、有線LANコネクタ搭載。
流石に駆動時間は5時間しかありませんが、Lバッテリィを付ければ10時間。Xバッテリィを付ければ20時間駆動します。純正アクセサリが豊富なのもVAIOの良いところですね。
Xシリーズの薄さへのこだわりはのちの第3世代Zに通ずるものがありますね。シートバッテリィやSDカートリーダのレイアウトがソックリです。
PシリーズとXシリーズはとても魅力的で魅かれるものがありましたが、高校の時は持ち運んで使うことは少なかったので、少し重めのThinkPadを買うことにしました。
Xシリーズはあのまま新しいモデルが出続けていれば大学に入って初めてのVAIOとして買っていたかもしれません。そのくらい魅力的なVAIOでした。
そして大学に入学。その後、2011年に3代目のVAIO Zが発表され、お金を貯めて型落ちで安くなった市販モデルを購入しました。発売当時は最安値構成でも20万円近くしたVAIO Zですが、型落ちで10万円ほどのモデルを発見したのでその時欲しかったMac Book Airと迷いに迷った末に購入しました。(持ってないけどMacも好きです。)
三代目のVAIO Zは「何もあきらめなかったモバイル」のコンセプトとは打って変わって、外部GPUは搭載しない(外付けのDockに搭載)、光学ドライブも非搭載(外付けのDockに搭載)。と今までのZとは違ったコンセプトで出てきたので困惑しました。
そのため、最初は「Zも丸くなったもんだな...」と悲観しましたが二代目までの変態性能は十分に残っているどころか、さらに磨きがかかっており、安心してドヤれるVAIOとして憧れることができました。
三代目VAIO Zの変態ぶりを簡単にまとめると
・軽い。13インチで1.165kgと2代目Zから200g以上もの軽量化に成功。(MacBookAir13は1.3kg)
・薄い。紙のように薄く見えるMacBookAir 11インチモデルよりも最厚部が薄い。
・多い。MacBookAirより薄いのVGA端子、HDMI端子、有線LANポート、ケンジントンキーを搭載。
・速い。標準電圧版CPU搭載。(高性能すぎてIntelの提唱するUltraBookに当てはまらないw)
・速い。第3世代SSDをRAID 0でさらにブースト。
・長い。駆動時間は公称9時間。(Haswellじゃないですよ、SandyBridgeの標準電圧CPU搭載でですよ)
・広い。13インチでフルHDのパネルを選択可能。(2代目もだけど)
挙げ始めるとキリがありません。
とにかく、ただでさえキワモノが多いVAIOの中でも圧倒的に異色を放つモデルでした。
そして、それを買いました。
2011年モデルを買ったので今年で3年目、安い構成で買ったのでVAIO Zとしては低スペックですが、今でも現役バリバリで使っています。このブログも全てVAIO Zで書いています。
そして、2か月ほど前、リビングのVAIOがVAIO Tap 21になりました。
このVAIOは持ち運び前提で設計されており、デスクトップPCなのにバッテリィを搭載しています。我が家のPC机はリビングの隅にあるのですが、Tap 21を買ってからはテーブルの上に持ってこられるようになり、みんなで画面を見て使う機会もできました。
感覚としては大きなタブレットです。(見た目もiPadソックリですが笑)
というように、若干こじ付け気味ですが、新しいVAIOを買うたびに僕の暮らしは変化し、楽しく快適なものになっていきました。
もちろん、他の会社のPCを買っても同じような事が起きたかもしれません。
しかし、僕はVAIOを買って、VAIOを使って今日まで生活してきました。
買ってはいませんが、サーフスライダー機構を搭載したVAIO Duo、ノート型に見えてタブレット型にもなるVAIO Fitのような面白いVAIOを買ったら、きっと僕の生活はもっと面白いものになるでしょう。
VAIOはそんな変化のきっかけを与えてくれる存在でした。
だからVAIOはVAIOであってPCではないのです。
ここでは取り上げなかったモデル、僕が実物を見たことも触ったこともないVAIOも沢山あります。むしろ知らないVAIOの方が多いです。ここ3、4年を振り返っただけでもこれだけの素晴らしい製品があるのですから、過去のVAIOにもきっと素晴らしい製品が数多くあったのでしょう。そして、多くの人に感動を与えてきたのでしょう。
しかし、そんなVAIOはもうSONYからは出ません。
VAIOを創ってきた素晴らしい技術者の方々が今度どうなるかも分かりません。
SONYでない会社から、発売されるかも分からないモノがパソコンなのかVAIOなのかも分かりません。
そして、会社や技術者がそうしたくても、投資家が、市場が、時代が、それを受け入れるかどうかも分かりません。
コンシューマ向けパソコンの市場規模は年々減少しています。今後パソコンの販売台数が爆発的に増えることは考えにくいでしょう。パソコンの黄金期はもう終わったのです。
そして、これからはスマートフォン、タブレット、今はまだ見ぬデバイスが僕たちに感動をあたえ、生活を変えていく時代になります。
でも、VAIOがパソコンの黄金期を支えたブランドの1つであることは変わりません。
VAIOが僕たちにくれた感動も変わらない筈です。
だから今日はひとまず「今まで感動をありがとう、お疲れ様でした。」とだけ言いたい。
SONYから巣立つ、僕たちの"VAIO"に。
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